サハリンで見かけた山野草
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41.チシマザクラ(千島桜)
分類:バラ科サクラ属
学名:Prunus nipponica var. kurilensis
撮影日:6月上旬
自宅アパートの近くに咲いていた。全体的に赤っぽくて、木は細く、樹高2m程度だった。
42.チングルマ(稚児車)
分類:バラ科チングルマ属
学名: .Geum pentapetalum
撮影日:6月上旬
日本では高山植物に分類されるチングルマであるが、サハリン北方では海抜100mに満たない低地でも咲いていた。
43.エゾノウワミズザクラ(蝦夷の上溝桜)
分類:バラ科サクラ属
学名:Prunus padus L.
撮影日:6月上旬
ロシア語の名称は
черемуха で、芳香が強く、円筒状の花房を形成するこのサクラはロシアではポピュラーなサクラである。
44.アズマイチゲ(東一華)
分類:キンポウゲ科イチリンソウ属
学名:Anemone raddeana
撮影日:5月中旬
他のイチゲ類の花々に比べて花が大きい。
雪解け後の早春の野に咲いていた。
45.エゾヘビイチゴ(蝦夷蛇苺)
分類:バラ科
学名:Fragaria vesca
撮影日:9月上旬

8月から9月にかけてユージュノサハリンスク市内のあちこちで見かけられた。
46.エゾナミキソウ(蝦夷浪来草)
分類:シソ科
学名:Scutellaria yezoensis
撮影日:7月中旬
園芸花のチェリーセージによく似た雰囲気がある。日本では絶滅危惧種のリストに入っているようだがサハリンでは様々なところで遭遇した。

47.ミツバツチグリ(三葉土栗)
分類:バラ科キジムシロ属
学名:Potentilla freyniana
撮影日:6月中旬
小さな黄色の花が雑木林の陽当たりの良い斜面に咲いていた。ツルキンバイにもキジムシロにも似ており、ミツバツチグリという確信は無い。
48.エゾムラサキ(蝦夷紫)
分類:ムラサキ科
学名:Myosotis sylvatica
撮影日:6月中旬
別名でミヤマワスレナグサ(深山勿忘草)とも言うようである。

49.エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜)
分類:ツツジ科ツガザクラ属
学名:Phyllodoce caerulea
撮影日:6月上旬
日本では高山植物の範疇に含まれるのであるが、この花は北サハリンの海岸からほど遠くない湿地帯で見かけた。
50.エンコウソウ(猿猴草)
分類:キンポウゲ科
学名:Caltha palustris var. enkoso
撮影日:6月中旬
エンコウソウ(猿猴草)とは面白い名前を付けたものだと思ったが、その由来は長くて赤い茎が手長猿を連想させる事に起因しているようである。
51.エゾゴゼンタチバナ(蝦夷御前橘)
分類:ミズキ科ゴゼンタチバナ属
学名: Chamaepericlymenum suecicum
撮影日:7月上旬

中央部の花の色は黒紫で、普通のゴゼンタチバナは葉が輪生で草丈が低いが、こちらは対生しながら上へ伸びていた。
52.エゾウスユキソウ(蝦夷薄雪草)
分類:キク科ウスユキソウ属
学名: Leontopodium discolor
撮影日:8月上旬

サハリンではそれぞれが大きく離れた三カ所で見かけた。
53.エゾスカシユリ(蝦夷透百合)
分類:ユリ科ユリ属の多年草
学名:Lilium pensylvanicum Ker Gawl
撮影日:7月中旬
サハリンでは夏を代表する花の一つであり、あちこちの山野で見かけられるが、見栄えのする大輪のユリであり、市内の花壇にもよく植えられている。
54.エゾミヤマクワガタ(蝦夷深山鍬形)
分類:ゴマノハグサ科 ルリトラノオ属
学名: Pseudolysimachion schmidtianum var. yezoalpinm
撮影日:8月上旬

名前の通り蝦夷の深山で出会った鍬形の美しい花だった。
55.イワシャジン(岩沙参)
分類:キキョウ科ツリガネニンジン属
学名: Adenophora takedae
撮影日:7月中旬
急峻な断崖に見とれていた時、その中腹に何だか青い花が咲いているのに気が付いた。双眼鏡でのぞいてみるとキキョウに似たきれいな花だった。あいにくポケットデジカメしかなく、写真を撮るには接近しなければならなかった。やっとの思いで崖の中腹によじ登った。
56.ラマーシカ
分類:キク科
学名: 写真をクリックして下さい。
和名:カミツレモドキ
撮影日:7月中旬
ロシアで最もポピュラーな夏の花はと聞かれれば、即座にラマーシカの名前が浮かぶほど、この花は水や空気のようにロシアの夏の風景には欠かせない花である。

写真をクリックしてみて下さい。
57.ヤナギラン(柳蘭)
分類:アカバナ科アカバナ属
学名: Epilobium angustifolium
撮影日:8月上旬

何とも不思議な花だと思う。大ぶりで葉は柳のように細く、花は豪華である。大群落を形成するが、夏の平原にあっと言う間に登場し、平原をピンク一色に染める。ロシアの夏の代表花と言っても過言ではない。
58.アカツメクサ(赤詰め草)
分類:マメ科シャジクソウ属
学名: Trifolium pratense
撮影日:7月中旬

樺太を訪れた宮沢賢治が「春と修羅」の一節に
   『やなぎらんやあかつめくさの群落
   松脂岩薄片のけむりがただよひ
   鈴谷山脈は光霧か雲かわからない、、、、』
と書いているが、昔からヤナギランもアカツメクサもその群落は印象深かったようだ。
59.テガタチドリ(手形千鳥)
分類:ラン科テガタチドリ属の多年草
学名: Gymnadenia conopsea
撮影日:7月下旬

サハリンの南部でも北部でも見かけた。田舎の方では普通の民家の軒先にも顔を出していた。
60.ホザキシモツケ(穂咲下野)
分類:バラ科
学名: Spiraea salicifolia
撮影日:7月中旬

この花のピンクは一番きれいな色だと思う。時期により、場所により、そして花自身によって、このピンクの色合いは千差万別である。だから美しいホザキシモツケに出会った時は幸せな気分になれる。
61.ツリガネニンジン(釣鐘人参)
分類:キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草
学名: Adenophora triphylla var. japonica
撮影日:月旬

車窓から野原の風景を眺めていると、野原が水色になるところが何カ所かあった。車を停めて確認してみると、ツリガネニンジンの大群落だった。
62.デルフィニウム(大飛燕草属)
分類:キンポウゲ科デルフィニウム属
学名: Delphinium
撮影日:8月上旬

園芸花としては日本で何度も見ていたが、野生のデルフフィニウムを近くで見たのは初めてだった。周囲の雑草に太陽の光が遮られ、陽光を受け入れようとして茎が伸び、草丈が2m以上になっていた。
63.ムラサキベンケイソウ(紫弁慶草)
分類:ベンケイソウ科
学名: Sedum telephium
撮影日:8月中旬
この花もサハリンでは広範囲で見かけたが、山奥ではなく、いずれも道路沿いが多かった。赤紫の小さな花が印象的である。

64.ミヤマシオガマ(深山塩釜)の仲間
分類:ゴマノハグサ科シオガマギク属のようである
学名: 図鑑で同定出来なかった
撮影日:7月上旬
ミヤマシオガマは日本では高山植物に属するようであるが、サハリンではこの花は低地の湿地帯で見かけた。徒歩では接近出来そうもない奥地だった。
65.エゾノコギリソウ(蝦夷鋸草)
分類:キク科ノコギリソウ属
学名:Achillea ptarmica subsp. macrocephala
撮影日:7月上旬

サハリンではあちこちでよく見かける野花である。葉の縁が小さなノコ歯状になっている。
66.クルマユリ(車百合)
分類:ユリ科ユリ属の多年草
学名: Lilium medeoloides
撮影日:7月中旬
サハリンでは森の中、海岸、草原など、様々なところで目にすることができる小さな可憐なユリである。葉が茎の中央部で10枚ほど輪生するのが特徴で、そこからクルマユリと名づけられたそうだ。
67.ハナイカリ(花錨)
分類:リンドウ科 ハナイカリ属
学名: Halenia corniculata (Linn.) Cornaz
撮影日:8月中旬
サハリンでは陽当たりの良い斜面でよく見かけた。
68.エゾヨモギギク(蝦夷蓬菊)
分類:キク科ヨモギギク属
学名:Tanacetum vulgare Linn.
撮影日:8月上旬
メダルか小判のように見える円形の花が付いている。
サハリンのかなり北のほうでも道端に咲いていた。
69.ナナカマド(七竈)
分類:バラ科の落葉高木
学名: Sorbus commixta
撮影日:10月中旬

ロシアでは「黄金の秋」と言われるように、秋には黄色に色づく木の葉が圧倒的に多い中、ナナカマドは赤く変色する。ユージュノサハリンスク市内の公園や街路に多数植えられており、秋にはそれらが「黄金の秋」ではなく「紅葉の秋」を演出する。
70.ルピナス
分類:マメ科ハウチワマメ属
学名: Lupinus
撮影日:6月中旬

サハリンでは山野の中で自生していたが、山奥ではなく、比較的に人家に近い場所が多かった。植生したものがいつのまにか逃げだし、あちこちで自生している雰囲気を感じた。
71.オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)
分類:キク科
学名:
Ainsliaea acerifolia var. subapoda
撮影日:8月上旬

蚊やブヨの多そうな藪の中を歩いていたら見かけた。後でそれがオクモミジハグマだと教えられた。
72.ザゼンソウ(座禅草)
分類:サトイモ科の多年草
学名: Symplocarpus foetidus
撮影日:5月中旬
5月上旬まで雪におおわれるサハリンではザゼンソウの開花時期は日本よりも二ヶ月ほど遅いようだった。一緒に咲き始めるミズバショウと同じような場所で何度か見かけた。

73.ハマナス(浜茄子)
分類:バラ科バラ属の落葉低木
学名: Rosa rugosa
撮影日:7月中旬

ハマナスの花はオホーツクの沿岸でよく見かけた。花後の実は大きく、地元の人々はこのハマナスの実でジャムを作っていた。
74.ハマニガナ(浜苦菜)
分類:キク科タカサゴソウ属
学名: Ixeris repens
撮影日:月旬

砂浜に花が一輪落ちているように見えたが、ちゃんと茎が付いていた。周囲の地表に花が同じように広がっていた。ハマニガナとは名の通りである。
75.カセンソウ(歌仙草)
分類:キク科オグルマ属
学名: Inula salicina var. asiatica
撮影日:8月中旬

草丈が大人の背丈程度で、フキの葉のような大きな葉を付けていた。郊外で見かけたが植生したものが逃げ出したのだろうか。
76.カラフトゲンゲ(樺太紫雲英)
分類:マメ科、イワオウギ属の多年草
学名: Hedysarum hedysaroides
撮影日:7月上旬

山奥の斜面に生えていた。一見してすぐにマメ科の植物だというのがわかった。シベリアで似たような花を見たことがあるが、こちらの方が草丈は低かった。
77.イヌタデ(犬蓼)
分類:タデ科イヌタデ属
学名:Polygonum longisetum
撮影日:8月上旬

78.ヒメカイウ(姫海芋)
分類:サトイモ科ヒメカイウ属
学名: Calla palustris
撮影日:7月中旬

一見して水芭蕉かなと思ったが、花がとても小さかった。後でそれがヒメカイウという名であることがわかった。
79.キツリフネ(黄釣船)
分類:ツリフネソウ科ツリフネソウ属
学名: Impatiens noli-tangere
撮影日:8月下旬

キツリフネはサハリンでも広範囲に分布しているようだったが、写真のように密生しているのもあった。
80.クロマメノキ(黒豆の木)
分類:ツツジ科スノキ属
学名: Vaccinium uliginosum
撮影日:7月下旬

サハリンではポピュラーなベリー類で、夏の後半から市場に登場する。