ヤナギラン(柳蘭)
学名: Epilobium angustifolium (Chamerion angustifolium (L.))
露名:
Иван-чай узколистный
分類: アカバナ科アカバナ属

 ヤナギランは全高150cm程度までの滑らかな茎と、互性花序でランセット状(細くて先の尖った披針形)のダークグリーンの葉を持つ多年草です。この花は夏の後半に咲き、森林の伐採跡、焼け跡、土手、斜面、道路沿いなど、シベリアならどこでも見かけられます。火山が噴火し、溶岩が流れて植物が消えた後、植物界の再生段階で真っ先に登場してくる花だそうです。この花が枯れると肥料となり、次の植物の登場を促進させるようです。ランの名前が付いているものの、ラン科でなくアカバナ科です。花がランに似て、その細い葉は柳のようなのでヤナギラン(柳蘭)と命名されたそうです。

 ヤナギランはロシア語で「イワン茶(
Иван-чай)」と言われ、食材としても利用されてきました。若葉、芽、根はビタミンCを含有しており、それらからサラダやスープをつくる事ができます。根は生のまま、又はゆでて、アスパラガスやキャベツの代用となります。葉と蕾は煎じて茶の代用とされます。根は乾燥後に細かい粉末状にされて、オートミール、パン、パンケーキなどの食材となります。焼き上げた根はコーヒーとしても利用されるようですが、このコーヒーは飲んだ事はありません。

 根は秋に収穫し、冷水で洗った後で、薄く重ねて風通しの良いところで乾燥させます。

ヤナギラン・スープの作り方

 材料:ヤナギランの若葉100グラム、キャベツ100グラム、スイバ100グラム、ジャガイモ200グラム、ニンジン10グラム、タマネギ40グラム、マーガリン20グラム、ゆで卵半分、サワーミルク20グラム、塩と胡椒を少々。若葉を熱湯に1〜2分間入れ、網に移して水を切ります。それから細かく刻んでマーガリンを入れ、少し煮込みます。刻んだニンジンとタマネギを軽く炒めておきます。熱湯にジャガイモを入れ、用意したヤナギランの若葉、野菜を加え、煮込みます。出来上がり10分ぐらい前に塩と胡椒を振り掛けます。ゆで卵とサワーミルクは食べる時に皿に入れます。

下の写真はクリックすると大きなサイズになります。

キーロフスコエのヤナギランの海


ヤースノエのヤナギランの海


ユージュノサハリンスクスキー場(旧旭ヶ丘)付近

小さな蕾を付けた細い棒状の茎が急に現れ、やがてヤナギランの海になる。ヤースノエにて

 一本の茎から枝分かれし、大きく咲いていたヤナギランは見栄えが良かった。オノールにて。


プガチェボの山岳地帯で咲いていたヤナギラン。


ゾナーリナノエのヤナギランの海


オノールのヤナギラン

キーロフスコエ地区

花が終わると綿毛の付いた種が現れ、種は風に乗って飛散する。