アララト山
アララト山塊は大アララト山5156m(アルメニア人はこの山を『マシス』とも言う。)と
小アララト山3914m(同様に『シス』とも言う)で構成されており、
大アララト山は頂上が万年雪で被われ、北東斜面には氷河があり、
二つの山はサルダルブラク地峡で結ばれている。
アララト山は聖書に登場するノアの箱船が漂着したところとして有名であり、
神聖な山であるがゆえに、人の立ち入りが不可能なところという昔からの言い伝えもあった。
今に残る記録によれば、1828年デルプト大学のパロット教授が自分の学生と
エチミアジン教会の修道士アボヴェンとともに山頂へ至ったのが、
この山の最初の登頂とされている。


朝起きて窓から外を眺めたとき、市内を走る車や市電の車窓から、あるいは散歩をしながら、アララト山は首都エレヴァンではよく目に入った。アララト山は今ではトルコ領に属するが、アルメニア人の聖なる山、心の山であり、アルメニアのシンボルと言ってもよいのではないだろうか。 山麓をトルコ領とアルメニア領を分けるアラクス川が流れ、その傍にホルビラップ修道院がある。アルメニアではここからのアララト山の眺めが一番よかった。アラクス川の向こうでは人家から煙が上がっているのが見え、川辺に建つトルコ側の監視所にはトルコ兵の姿も見えた。