タイガ

タイガとは一般的には亜寒帯に広がるエゾマツ、トドマツなどの針葉樹林帯であるが、ここで紹介するのは
ハバロフスクの南方に展開するホール川上流地域である。そこはシベリア杉、カラマツ、白樺、タモなど
多様な樹木が生い茂る深い森だった。案内してくれたロシア人達はここもタイガだと言っていた。
そこに森で遭遇した迷子の小熊や傷ついた虎などを一定期間世話をするリハビリセンターがあった。
鉄製の高い網で囲った敷地の中に虎がおり、虎は飼育担当のクルグロフ所長には従順だった。
成長した大きな虎であったが、保護された時は親からはぐれた小虎だったとの事。
ここからボートでホール川をしばらく溯り、釣りをし、焚き火を囲み、テントの中で夜をすごした。



うっそうとした森の植物相は
日本で見るものとは少し違っていた。
熊や虎に遭遇しても不思議では
ない野性味を感じた。







野生動物リハビリセンター「ウチョース」に
保護された小熊たち




野生動物リハビリセンターのクルグロフ所長一緒にカメラにおさまった。(真ん中はご子息のユーリー君)

ホール川を遡る船は船底が浅く、後尾に船外機を取り付けた川船で、案外高速だった。





ホール川の流れはけっこう早かった。
この川には多数の支流が流れ込み、
その幾つかは穏やかな流れになっており、
いかにも大魚が潜んでいそうな雰囲気だった。案内してくれたゲンナージーさんや、ユーリー君は、さっそく釣り糸を垂らしていた。





川の向こうに山が見えた。
地図で確認すると、
『Ko』2003mと記載されていた。
いつの間にかその山に登る話しになってしまった。






景色を味わい、静寂な時間が過ぎていくのを楽しんでいたら、同行してくれたロシア人たちの騒ぎ声が聞こえた。どうやら大物が釣れたようだった。
しばらくして、それは細谷先生が釣った幻の大魚イトウであることがわかった。(左の写真)この界隈では2〜3年に一度クラスの大物だった。

日本人釣り人が釣ったイトウとロシア人釣り人が釣ったマスであるが、日本側の圧勝というところか。






この辺りではハリウスという魚がよく釣れた。清流にしか生息しない魚で、地元の人々は生で食べるとの事。同行したロシア人達は鱗や内蔵をを除去し、ケチャップでそのまま食べていた。ジストマなどは大丈夫なのかと思いつつ、勧められるままに僕も何匹か食べてしまった。





左の写真で、手前の鉄製の四角い入れ物は、魚を薫製にするためのものである。
その先に見えるのはバーベキュー用の炭コンロ。





右隣の写真は出来上がった魚の薫製。


食卓を囲み、一杯傾けながら夕焼け空をながめた。

澄んだ空に鱗雲が浮かんだ美しい風景だった。
空なのに清流の川面をながめているような気がした。