アムールの船旅
�▲灰爛愁皀螢好�・ナ・アムーレからティルへ

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　コムソモリスク・ナ・アムーレに『鎮魂』と刻まれた記念碑があった。
　戦後、この辺りには多くの日本人兵が抑留された。手元の資料によれば、1946年6月1日の時点で、コムソモリスク内務省No1ラーゲリには26086名の日本人捕虜が収容されていた。捕虜達の労働力は各産業部門に配分され、その労力提供先は多岐に渡っているが、ハバロフスク地方では石炭省（炭坑）、林野省（木材伐採）、建設省（土木建築）、鉄道省（鉄道工事）が多かったようだ。十分な食料や居住条件が与えられなかった中での強制労働で、ラーゲリでの死亡率は高かった。
　この記念碑の周りは掃除され、花が添えられていた。日本の厚生省のルートでも遺骨収集団が何度か来訪しているようだった。
　コムソモリスク・ナ・アムーレでは路面電車はまだ市民の足になっていた。電車は数分おきにやって来るようだ。（右は路面電車の内部）料金は日本円で10円程度だったと思う。

　アムール川は場所により、川幅がかなり広い。波の無いところでは大きな湖の中を進んでいるようだった。しかし、この広いアムールにも浅瀬がけっこうあるらしく、船を座礁させないように航行させるには経験が必要との事。川岸に船を安全に航行させるための標識があり、船から双眼鏡でその標識をとらえ、次の標識が出てくるまではその標識を目安に船を進めていた。
　旅行中はほとんど好天に恵まれ、波も静かだったが、キジ湖に近づくに従って波が荒くなった。太平洋側からの風が遮蔽される事無くキジ湖上空を流れ、直接アムール川へ吹き込んでくるためだ。
　景色は雄大だが、船外へ出る事も出来ず、狭い甲板で運動をしたり、操舵室の上へ上がって景色を見たり、それぞれ思い思いに時間を過ごした。
　大型の貨物船、艀船などともよくすれ違った。
コムソモリスクで建造された潜水艦はアムール川経由で太平洋へ移動するようだった。
　川岸に時々民家などが見えたが、工場地帯も大きなビル群も無く、製材所らしき施設が散見される程度だった。
　開発という意味では取り残されたような感じを受けた。
　スサーニナで飲用水の補給。バケツが重かった。（左の写真）
　しばらくして、ボゴロッツキー接岸、朝食。船着き場には定期船をホテル代わりにしてして係留していた。近くに「アーネンスカヤ・ワダー」という鉱泉があり、関節に効用があるとの事で、船着き場から定期バスが往復していた。（右の写真）
　ボゴロッツキーではウルチ族の博物館を見学した。あまり来館者もなさそうで、イチゴとりに出かけた館長のおばさん（左の写真）をさがして、呼んでくるまで時間がかかった。
　その間に、村の中を散策した。木造平屋建ての古い建物が多く、ロシアのおとぎ話にでも出てきそうな、ほのぼのとさせる小さな一軒家があった。だが、いざここに住むとなると大変そうだ。（右の写真）
　博物館の中にあったウルチ族の祭りの写真は、アイヌの熊祭りによく似ていた。（左の写真）
　右の写真はウルチの村の模型。
　食糧倉庫は高床式で、鮭を干しているコーナーや糸車などが復元されていた。左の写真はティルの永寧寺跡から持ってきた瓦。
　この村で見かけた若者たちにも東洋系の顔立ちが多かった。
　右の写真は村ですれ違った子供達。
子供達には子供達の世界があるようで、表情は明るかった。
　水中翼船はアムール川沿岸の町々を短時間で結んでいる。
　古代から交通や経済は川を中心に発展した。
水中翼船が使える季節は、アムール沿岸の町にも活気が戻ってくる。
　水中翼船に乗れば、ニコラエフスクからハバロフスクまでは一泊二日で到達出来るそうだ。
　間宮林蔵も含め、数多くの先人がこのアムール川を利用して移動した。彼らが見た自然とおそらく僕らが見ている自然はあまり違いはないだろうと思いながら、改めて周りの風景を楽しんだ。
　記録によれば間宮林蔵はアムール川を遡り、デレンに至ったそうである。地図上でデレンをさがすが、はっきりとは確定できなかった。船長の話で、デレンスキーという中州があり、もしかしたらそこがデレンだったのかもしれない。
　ティルへ接岸、上陸し、中国・金王朝時代の永寧寺跡を見学した。中ソ論争が激しくなった当時、永寧寺の建物は眼下の断崖からアムール川へ落とされたとの事。
　そのために寺跡はほとんど痕跡が無いほどであり、跡地に瓦の破片が多数散乱していた。（左の写真）
　そばにあった古い大砲台の前で写真を撮った。（右の写真）
　この村にも東洋系少数元住民族が多かった。ニブヒ、ニギダル、ナナイの三人組が小舟で船にやってきて、魚を売っていた。三人は親族との事だった。イクラ、魚、パンなどを購入した。

　右の写真のバイクでやって来た若者達もアムールで捕った魚を売っていた。