スモッグ
ユージュノサハリンスクを見下ろす眺めの良い高台がある。そこは日本の統治時代からスキー場だった場所であり、現在は「山の空気」(Горный воздух)と命名され、2008年度からはゴンドラが稼働中である。冬のある日、素晴らしい眺望を期待し、歩いてこの高台へ登った。高台から下を見ると、何と、そこには幻想的な風景が広がっていた。まるで湖底に沈んだ都市のような景観だった。テレビ用のアンテナは高さがあり、上の部分だけがやや鮮明に見えた。それは海底に沈んだ難破船のマストのようにも見えた。ユージュノサハリンスクは盆地にあり、風の吹かない日はスモッグが溜まりやすい。近年は車の数が増え、また冬場になれば、石炭を利用し、温水を供給している火力発電所の負荷も増大する。サハリンは天然ガスを産出しており、市内の調理用のコンロを、石炭を使う電力から、天然ガスへ切り替える構想もあるようだが、石炭業者の反対もあり、まだ実現していない。